本田が30m無回転フリーキックで今季初ゴール

日本代表MF本田圭佑(27)の所属するCSKAモスクワは28日、アウェーでロコモティフ・モスクワと対戦し、2―1で勝った。本田は前半19分に約30メートルの直接FKを決める先制弾。今季リーグ戦3試合目で初ゴールをマークした。ACミラン(イタリア)との移籍交渉が二転三転している中、ダービーでのゴールは格好のアピール弾となった。

 力強く、速いボールがネットに突き刺さった。前半19分、ゴール右45度の地点で得た30メートルのFK。蹴るのはもちろん本田だ。回転しながら3枚の壁を軽々と越えて落ちる先制ゴールが決まると、バックスタンドのサポーター席に向かって走り出した。両腕を天に突き上げ、ほえた。さらに何度もガッツポーズを繰り返し、余韻に浸った。

 ゴールは2点を奪った13日のロシアスーパーカップ(対ゼニト)以来で、リーグ戦では今季3試合目にして初得点。前半14分には約50メートルのドリブルからシュートを放つなど、攻撃を引っ張った。気温16度とやや肌寒さの残る中でトップ下として躍動。開幕戦(17日・対ウラル)から3戦連続のフル出場を果たした。後半はライバルに押されっ放しの展開になり、29分に同点に追いつかれたが、36分には本田のスルーパスからCKを獲得。そのCKからムサの決勝ゴールが生まれた。

 6月には新スパイクが完成した。「マンガのような縦回転キックを実現させたい」という本田の要望をもとに、契約を結ぶミズノ社と筑波大が約2年をかけて共同開発。キックマシーンという大がかりなロボットを用いて、テストシュートを繰り返した。この日のFKはまだ完成とまでは至っていないが、徐々に手応えをつかみつつある。

 報道陣には「お疲れさまでした」の一言で会場を去った。今季開幕からの好調はミランへの大きなアピールになったが、CSKAにとっても手放したくない存在であることが改めて浮き彫りになった。両クラブ間の綱引きにも一喜一憂せず、常に全力を出し続けた背番号7。そのブレない姿勢が、ゴールと勝利という結果になって表れた。