ヤングなでしこ!メキシコに快勝!!

サッカー U―20女子W杯第1日 ▽1次リーグ・A組 日本4―1メキシコ(19日・宮城スタジアム) ヤングなでしこが4発のゴールラッシュで快勝発進した。1次リーグA組初戦でメキシコと対戦した日本は、前半32分にMF柴田華絵(20)=浦和=のゴールで先制。後半11分にはMF猶本光(18)=浦和=が25メートルのスーパーミドルを決めるなど4―1で圧勝した。ロンドン五輪で銀メダルを獲得したなでしこジャパンの“妹分”が、地元開催での初優勝に向け最高のスタートを切った。

 冷静なプレーが持ち味の猶本が興奮を隠せなかった。「パスを受けたところとゴールが入ったところは覚えています。でもシュートの軌道は思い出せないんです」。1―0の後半11分、田中美のパスを右足でダイレクトシュート。ボールは25メートルの美しい曲線を描いてゴールに突き刺さった。

 ゴール後は手をくの字に前へ突き出しあごを上げる“どや顔”パフォーマンス。17日の練習で右膝を負傷し離脱したDF村松智子(17)=日テレ=の発案だった。ベンチに村松の背番号2のユニホームを飾るなど、直前で離脱した友の悔しい思いも背負って戦った。

 日本で初めての女子の国際サッカー連盟(FIFA)主催大会。ゴールデンタイムにテレビで生放送され、しかも東日本大震災で損壊した宮城スタジアムでは復旧後初の試合。負けるわけにはいかなかった。前日は震災の津波の映像を全員で見た。宮城で高校時代を過ごした仲田が「一生懸命やる姿を見せるしかない」と話すなど、イレブンは心を1つにした。

 猶本も緊張していたが、浜田に「(被災者に比べ)そんな悩みぜいたく。自分だって自信はないよ」と書かれた手紙をもらい、サッカーができる喜びをプレーで表した。

 筑波大に通う女子大生なでしこリーガーは、代表FW安藤梢(30)=デュイスブルク=やDF熊谷紗希(21)=フランクフルト=のトレーニングを指導する西嶋尚彦教授に師事。浦和の先輩でもある安藤が大学を訪れた際は授業の合間を縫ってドイツでの経験談に耳を傾ける。こうした向上心が活躍の原動力だ。

 吉田弘監督(54)には「猶本のシュートが入ったのが大きかった」とMVP級の評価を受けた。2月に各世代合同で行った和歌山合宿から見守るなでしこの佐々木則夫監督も「いろいろ見えているね」とこの半年の成長を絶賛。2015年カナダW杯や2016年リオデジャネイロ五輪を目指すヤングなでしこを引っ張っていく。